2010/10/8
記憶の固執
ダリの模写8、全画集No.360
 
模写年 2008〜2010年
縦*横 24.2*33.3cm、キャンバス、F4
参考画集 現代世界美術全集25ダリ、集英社
 
 ダリの作品を模写する場合に、この作品は必須とも言えると思います。20世紀の重要な発明のひとつである「柔らかい時計」が誕生した記念すべき作品だからです。「柔らかい時計」は衝撃的で忘れがたいモチーフですが、時間に対する相対性理論に着想を得たのではなく、食べられそうな時計として描かれました。
 模写に3年間もかかっていたんですね。勿論、毎日描いていた訳ではなく昨年はほとんど触れずにいました。
 
(大きさ)
 大きさは、ほとんどの画集には表示されているものの、まったく同じ寸法とは限りません。このHPのその他1で記述したような極端な例もあります。
 この模写では縦横比も大きさもほとんど同じ既製キャンバスF4を使用しました。大きさに関しては下の表のとおりです。
 オリジナルを見て模写するのではないので、画集を見るしかありません。画集に載せる写真を撮影する時に額から外すか外さないかでオリジナル作品の画面全部が見えているとは限りません。また、編集する時に端部が切れる可能性もあります。したがって、一番信頼できそうな画集を基に模写することになります。今回は現代世界美術全集25ダリ、集英社(書籍NO.212)を使用しました。この画集ではキャンバス短部の額による絵の具剥離の状態まで印刷されておりキャンバス全体が表示されているのが分かります。
 下の表から分かるように、画集を0.98倍した大きさで模写しました。この模写は画集の0.98倍の大きさと比較して、縦と横にに1mm大きいです。
種別 縦*横cm 縦横比 備考
模写 24.2*33.3 1.376 既製のキャンバスF4
オリジナル 24.1*33.0 1.369 MoMA蔵
画集 24.6*33.9 1.378 画集の絵を測ったもの
画集*0.98倍 24.1*33.2 1.378 模写した大きさ
 
(色彩)
 オリジナルを見ない限り、色彩は想像でしかありません。複数の画集を比較すれば、同じ物はありませんし、艶については、撮影時のストロボの位置などで異なってしまうからです。複数の画集の中から、その絵に一番ふさわしい色彩の画集を基にすることになります。この「記憶の固執」はダリの代表作品であるためダリの画集のほとんどのに取り上げられていますが、色彩もさまざまなのが実態です。
 私は2001年に上野の森美術館で開催されたMoMA展で実物を観ています。第一印象は「まるで昆虫の標本箱みたいに綺麗だ」でした。箱(箱型の額)の中に黄金虫のような時計や岩が輝いていました。乳白色の時計板がしっとりとした表面を見せていました。
 私は集英社の画集を基に模写をしましたが、地面に横たわる柔らかい顔の下の岩については暗すぎて形状がはっきりしません。MoMA展でその存在を認識はしたのですが模写するためには資料が必要です。スペインで購入した画面が極端に明るいこの絵のポスターがあったので形状についてはそのポスターを参考に仕上げました。
 
 
 
模写を始めた時の状況(2008年5月)
 
ある程度の描きこみが出来た状況(2009年11月)
 
蟻は必ずしも生物学的に正確な形状ではありません。
 
(額)
 私はこの模写のために額を作りました。MoMA展での単なる箱型ではなく「フィゲーラス劇場美術館」にある「パン籠」の額をイメージしました。
   
   
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