サルバドール・ダリの世界トップダリを求めて>2013.3パリの地下鉄入口                    2013/09/28更新

2013.3 パリの地下鉄入り口
(食べてくれ!)

2013年3月17日10時頃撮影 地下鉄Anvers駅

 ダリは「異説・近代藝術論」(書籍No.110)の中で、「美は食べられるものであるか、さもなければ、存在しないであろう」と言っています。この言葉はアンドレ・ブルトンの「美は痙攣的であるか、さもなければ存在しないだろう」の言葉を受けたものです。ダリのこの言葉で、当時のパリ社交界では「食べられるかどうか」が美しさの尺度になりました。ストラヴィンスキーのコンサート評として「とても美しくねばねばしてたわ!」のような会話が飛び交いました。
 ダリはこの写真にあるパリの地下鉄入口を見て「たべてくれ!」と言っているようだと述べています。そのことは「ナルシスの変貌(ダリ芸術論集)」(書籍No.109)の写真で説明されています。また、「異説・近代藝術論」(書籍No.110、117)では「ガウディを擁護するためにモダンスタイルとパリ地下鉄の入口についてミノトール誌に堂々たる文章を書いた。」と述べています。
 正に、モダンスタイル建築の可食的な、恐怖させる美です。 デザインとしてはアール・ヌーボー様式で、植物の形態がモチーフとなっています。
 私はダリが見た地下の入口をどの駅で見ることができるかについて、前もって調べないでパリへ行きました。パリの地下鉄網は充実していると聞いていたので、現地に行けばなんとか探せると思っていたのです。しかし、実際に見つけるまでには時間がかかりました。今回の調査では3か所で遭遇することが出来ました。
   Anvers駅(アンヴェール)、
   Palais Royal Musee du Louvre駅(パレ ロワイヤル ミュゼ デュ ルーヴル)
   Tuileries駅(チュイルリー)

 今回の訪問では地下鉄について予め何も調べていませんでしたが、「パリメトロ研究所」というホームページがあることをこの原稿作成直前に知りました。とても参考になりました。そのホームページによれば、これらのデザインは建築家エクトル・ギマールが行ったそうです。しかしながら、改修工事等で少なくなってきているそうです。
 私が写真を撮ってきた3駅の入口には庇がありませんでした。現存するギマールが作った庇のある駅入口は3駅のみになってしまったそうです。


Anvers駅(アンヴェール)
 Anvers駅(アンヴェール)はモンマルトルの南側にある駅です。モンマルトルがパリ中心部の北側にある丘なので、丘からパリ中心部へ向かう駅であるとも言えます。

 私はホテルからモンマルトルのテルトル広場やエスパス・ダリへ行く途中でこの駅の入り口を見つけました。下調べをしないで見つけられたので幸運に感じました。
 
 柵の中央部に設けられている脊髄のような部位に相当すると思います。ひしゃげた顔を連想してしまいます。シンメトリーな穴が目の様にも見えます。
 ダリが「食べてくれ!」と叫んでいる様に感じた気持ちを共有出来た気がしました。
  
 柵の一区画毎の中央に設けられたパネルです。アール・ヌーボーらしいシダ類の文様を連想させますが、甲殻類のようでもあります。 このパネルは他のものと比べてくすみが少なく新しいようです。
 このデザインは鋳型で製作してるのでしょう。
 
 地下鉄入口に掲げられた「METROPOLITAIN」の表示です。両側に赤い照明が植物の花の様にデザインされています。
 この照明を見てトム・クルーズ主演の映画「宇宙戦争」を連想してしまいました。
 
 駅名「ANVERS」の看板とその照明器具です。私は、この照明器具からマメ科植物を連想してしまいました。また、左右対称に拡げられた宇宙船のようでもあります。
 照明器具を支えている細い2本の支えの根元付近に何かが折れてしまった痕跡があります。この先には何が付いていたのでしょうか。
  .   
  .   
  .   
Palais Royal Musee du Louvre駅(パレ ロワイヤル ミュゼ デュ ルーヴル)
 ルーブル美術館の中央口に最も近い地下鉄パレ ロワイヤル ミュゼ デュ ルーヴル駅です。
 
 
 パレ ロワイヤル ミュゼ デュ ルーヴル駅の道を挟んだ石造りの建物はルーブル美術館のリシュリュー翼(Richelieu)です。
 ダリは何度もルーブル美術館を訪れていますから、この駅の入口の柵で「可食的な柵に気が付いたのでしょうか。

 ただし、ダリは地下鉄には乗れませんでしたからこの入口を実際に出入りしたのではないと思います。
 ダリが初めてパリへ一人旅した時に、ロシア人の画家に地下鉄に乗せてもらったことがありました。その画家チェリチェフがダリの降りる駅の一つ前の駅で降りることを知り、ダリは恐がって泣き出してしまいました。それ以来ダリは地下鉄は使わず、タクシーを使うことに決めました。
  .  
  .  
  .  
Tuileries駅(チェイルリー駅)
 ダリのパリでの定宿であったホテル・ムーリスの道向いには地下鉄チュイルリー駅があります。チュイルリー公園に隣接しています。
 
 
 歩道幅の半分以上使って出入口にしているので他の駅と比較して小さな感じです。また、駅名は歩道側の柵に掲示されていますが、METROPOLITAINの看板はチェイルリー公園の柵に掲示してあります。
 ホテル・ムーリスに一番近い地下鉄駅ですが、地下鉄嫌いのダリは使わなかったのでしょうね。
 
 「食べてくれ!」との叫びをダリにイメージさせたのはこの部材だったかも知れません。なぜなら、この駅がホテル・ムーリスとルーブル美術館は約1kmの距離にあり、この地下鉄駅はホテル・ムーリスからルーブル美術館へ行く途中にあるからです。
  .  
  .  

以下は参考映像としてご覧ください。